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ログのつらなり

final match epilogue

映画『インビクタス』は、第3回のラグビーW杯で南アフリカが初優勝したときの史実を基にした物語である。
南アフリカは昔からラグビーが強かったのだが、1987年に最初のワールドカップが催された当時は、アパルトヘイトにより国際社会から制裁を受けていたため、W杯には参戦させてもらえない存在であった。しかし1990年にネルソン・マンデラが釈放されたことをきっかけに、1995年のW杯は南アフリカで開催され、その自国開催の大会において初優勝を果たしたのである (ちなみに映画の中では、当時のキャプテンであるフランソワ・ピナールをマット・デイモンが、マンデラ大統領をモーガン・フリーマンがそれぞれ演じており、両役者とも本人に激似に扮していてビックリする)。
当時の南アのチームには有色人種のメンバーが一人しかいなかった。その唯一のメンバーの名はチェスター・ウィリアムズといって、劇中では象徴的な役割を果たしている。
で、この写真は、そのチェスター・ウィリアムズが現役を退いたあとに造った、自らの名前を冠したビールである (この前、近所の酒屋さんに売っていたので買ってきた)。

ラグビー選手は、引退後に農業などで暮らすケースがある。今回日本代表として大活躍したトンプソン・ルークも、今後は母国である NZ に帰って牧場を営みたいと言っていた。彼はもともと実家が牧場だったのが理由とのことだが、一方チェスター・ウィリアムズがビールを作ることになった経緯は、ちょっと様子が違うようだ。そのへんは下記の URL に少し経緯が記されている。
https://news.jsports.co.jp/…/loverug…/2019/10/post-2858.html

時は経ち、南アフリカチームは多くの有色人種のメンバーで構成されるようになった。今回の大会ではメンバーの半分を黒人もしくはカラードで構成するという目標があったのだが、それにはわずかに届かないものの、登録されている31人の選手のうち12人が有色人種になった。先ほどの決勝でウェブ・エリス杯を手にしたキャプテンのシヤ・コリシ選手は、南アで初めて、黒人が務めることになったキャプテンである。

本日は、前述のフランソワ・ピナールも横浜国際競技場の客席で決勝戦を観ていたらしく、彼が観戦している様子が何度か TV の画面に映し出されていた。しかし、当時のチームメイトだったチェスター・ウィリアムズは、残念ながら本日の客席には居なかった。なぜなら、このW杯が始まる直前の9月7日に、わずか47歳という若さでこの世を去ってしまったから・・・。

悲しい話ではあるものの、南アフリカは本日、無事に優勝を遂げました。イングランドも強かったけど、今日は南アのフィジカルの強さに太刀打ちできなかった印象の試合でした。
南アフリカ、おめでとうございます!シヤ・コリシ主将もおめでとう!前回大会では日本に苦渋をなめさせられた南アフリカは、その日本の地で、しかも当時のヘッドコーチであるエディー・ジョーンズ氏が率いるチームを相手にとって、ダブルスコア以上の差をつけて勝利を収めました。仇を討ったといって良いのではないでしょうか。チェスター・ウィリアムズ氏も、きっと喜んでいることでしょう。

しかし、これでW杯が終わってしまった・・・寂しい。ロスが大きい・・・。
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